今年の5月、米国のBitwage(ビットウェイジ)社が、「米国の確定拠出年金制度の一つ 401kプランでビットコイン取引ができる新たな商品を企業向けに発売する」と発表しました。
これ、結構衝撃的なニュースです。
「年金」と「ビットコイン」・・。
この2つがどう結びつくのかよくわからないという人もいるかもしれません。
このニュースの何がそんなにスゴいのか改めてみてみたいと思います。
目次
401Kとは?
まず『401k』って何でしょう?
日本ではあまり馴染みがないと思いますが、401kプランというのは、アメリカの確定拠出年金制度の一つです。
日本でも確定拠出年金を本格的に導入する企業や個人が増えていますが、簡単にいれば、「自分の将来の年金のために決まった金額を投資商品への運用に回し、その運用結果に基づいて老後の年金をもらう年金制度」、ということです。
この確定拠出年金のメリットとしては、社員の給与からの拠出金は課税所得から控除され、さらに企業側は損金扱いとしての拠出も可能という点です。
税制上でのメリットも大きいことからも、日本でも確定拠出年金を導入する個人や企業が増えていますが、これの米国版が401Kと思ってもらえば良いですね。
Bitwage社とパートナー企業
今回、世界初となるビットコイン401kプランを提供するBitwage社(同社の公式ホームページ)は、2013年に設立され、ビットコイン等の仮想通貨による給与支払いサービスを提供している会社です。社名の由来は「ビットコイン(Bit)によるWage(賃金)」という意味ですね。
同社は主に米国の自営業者や会社従業員への給与支払いを代行していますが、同社の顧客には、アップルやアマゾンなどの大手企業も名を連ねていると言われれています。
Bitwage社のホームページによれば、以下の大手3社が協力企業として名を連ねています。コンサルタント会社のLeading Retirement Solutions社、カストディサービス(仮想通貨の保管サービス)会社Kingdom Trust社に加え、大手仮想通貨取引所のGEMINI社がビットコインへの交換サービスを担うとしています。
ちなみにこのGEMINI(ジェミナイ)社は、ビットコインへの早期投資で莫大な利益を得たことで有名なウィンクルボス兄弟が設立した仮想通貨取引所として有名です。
ビットコイン運用の401kへの追加が意味するもの
「年金運用」は資産が増えることが前提
日本でも国民の年金の運用がうまくいっているのか?という話題が度々ニュースになりますよね。当たり前ですが、年金は運用して増やすことが目的です。
わざわざ若いうちから積み立てて、結果的に老後の取り分が減ってしまうことは基本的には想定されていないものです。だから年金運用は、長期での成長が見込まれるものにリスクを分散して投資することが原則となっています。
実際に確定拠出年金の投資先を選んだことがある人はわかると思いますが、日本の確定拠出年金の投資先は、債券のインデックスや株式インデックスなどです。これらは、それぞれリスクの違いはあっても基本的には長期スパンで見れば世界経済の成長と足並みをそろえて上昇する可能性が高いとされているものです。
今回、ビットコインが401Kの運用先として認められたということは、つまり、
ビットコインが年金運用に適した商品であることが少なくとも認められたことを意味します。つまり、見方によっては、株式インデックスなどと並んで、長期的な成長可能性が認められたとも受け取れるということです。
改めてBitwage社がビットコイン運用について同社のホームページを見てみると、以下のようにあります。
日本語訳すると「Bitwage社は、ビットコインをドルコスト平均法で投資することによって、401Kに貢献します。」と言っています。
「ドルコスト平均法」とは定期的に少額ずつを購入し値動きのリスクを小さくしながら長期投資する手法のことで、簡単に言えば長期にわたって積み立てるという意味です。投資リスクを最小限に抑えて長期のトレンドで利益をとる方法ですが、まさに株式のインデックスの積み立て投資などと考え方は同じです。
つまり、Bitwage社のビットコイン運用プランは「ビットコイン価格の長期トレンドは上昇する」という前提の商品であることがわかります。
もし仮にビットコインが今後も下がり続けた場合はいくらドルコスト平均で積み立てて買って言ってもどんどんん損するだけですからね。
年金運用目的の投資資金の流入
上でも言いましたが、確定拠出年金は長期投資です。
若いうちからコツコツ投資をして、老後に初めてその結果を受け取ることになります。
この記事を読んでいる人の中にも確定拠出年金への掛け金を毎月の給料から払い続けている人がいると思いますが、そういう人は基本的には定年を迎えるまで掛け金を払い続けます。つまり常に投資商品への「買い」が入り続けている状態ということです。
ビットコインはまだ年金運用先としては特殊な選択肢に過ぎないかましれませんが、もしビットコインが同じようにメジャーな年金運用商品となれば、長期的に資金が流入することを意味します。
“老後2000万円問題”の日本でもビットコインが年金運用先になる可能性?
日本人の老後の資産形成といえば、2019年に金融庁の報告にあった“老後2000万円問題“が話題になりました。これは「今のままだと年金だけでは不十分で、資産運用で老後資金に備える必要がある」ということで、老後を不安に思っている人も多いかも知れません。
「もしビットコインが長期で上昇する可能性が高いのであれば、日本でも401Kのように年金運用先に追加すれば良いのでは?」と思いますよね。
これについては今のところそのような動きはありませんが、将来的にはその可能性は大いにあり得るかと思います。
年金の運用先は投資会社によっても異なりますし、グローバル市場の新しい商品も加わっているので、ビットコイン投資が年金の投資先に組み込まれる日も近いかも知れません。
もし今回の米国401Kにビットコイン運用が加わったニュースを見て、「ビットコインの将来性を信じる」という人は、老後の資産形成のためにビットコインに個人的に投資しておくことも選択肢として考えればよいかもしれません。
まとめ
✅ 米国401Kプランにビットコイン運用が認められたことはすなわちビットコインの長期投資適格が認められたとも受け取れる。
✅ビットコイン投資が年金運用先として一般化すれば、長期にわたり大量の資金流入の可能性もある。
✅日本でも年金運用先としてビットコイン投資が含まれる可能性があるかもしれない。
✅ビットコインの値上がりを信じる人は、個人的な投資で老後に備える選択肢もあり。
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